先祖から受け継ぐ山・池田町の冨山夫妻がホダ木生産開始。

2021年3月18日

十勝の池田町で制作活動を行っているアーティストの冨山太一さんご夫妻がこの冬ホダ木の生産を始めた。

冨山さんの出身は池田町に隣接する士幌町。
東京の美術大学を卒業後24歳から制作活動をしている。


池田町には冨山家の実家があり商店を営んでいた。
「冨山商店」として1903年から木炭等の販売をしていたという。


北海道開拓の歴史で度々耳にする「親方」である。
山を買い集め「焼き子」と言われる炭焼き従事者を大勢率いて炭を生産していた。
冨山商店は現在、冨山さんがアトリエとして利用しており、営業はしていない現在も地元の製炭業者から懐かしく声を掛けられるという。

先代が所有していた広大な山林は冨山さんの父が所有する事となり、2019年の春、管理や施業方針の相談のため、地元の森林組合と山を一緒に歩いた。
その際、職員から「自伐型林業」の事を聞かされたという。池田町では近年、自伐型林業の研修事業等を企画している事が背景にあったからだ。

「自身で山を管理」する事に興味を抱いた冨山さんはYouTube等で配信されている自伐型林業関係の動画等を視聴し、「自身でも出来るかも」と興味がさらに深まり、情報を集めていた。


そんな中、目に止まった北海道自伐型林業推進協議会のホームページで紹介されていた研修会にも積極的に参加した。
秋にはカラマツ大径材が育つ、浦幌町石井山林の視察会。
冬には札幌市手稲で開かれた作業道研修会だ。

そこで出会った当会メンバーから「森林山村多面的交付金」の事を聞かされ、2020年度の事業を申請。
春から実際に「自伐」を開始した。

構成員は家族中心に6名。
チェーンソー経験も少ない事から、安全講習会には旭川市「里山部」の清水省吾氏を招きチェーンソーワークの基礎を学んだ。

構成員でもある妻の千絵さんも清水氏からの手解きで見事チェーンソーを操作する事ができるようになった。
「チェーンソーを触るなんて考えてもいなかった」という千絵さんも今ではすっかりチェーンソー作業の即戦力として冨山さんを支えている。

冨山さんの山はミズナラ等の広葉樹が多い事から、当会のホダ木生産研修(白老町:自伐型林業家養成塾)でその生産方法を学んだ。
重機を使わずチェーンソーと人力でしっかり稼げるホダ木生産は自身でもできると確信し、研修林とよく似た林況の山林約2㏊でホダ木生産を計画した。 

伐採の選木基準は基本的に劣勢木を対象とした間伐。
樹齢30年前後のミズナラ立木1本から約10本のホダ木が取れることもわかった。

今シーズンは14日間の間伐で約3000本を生産。売上は約550000円。
冨山さんはホダ木生産に手応えを感じており、来期は6000本程を生産する計画だ。

道内のホダ木の生産量は年々減少傾向と言われるが、道庁ではその生産統計調査を実施していなく実態は不明である。
木材産業と同等に政策支援する事でホダ木の安定供給と広葉樹林の適切な間伐促進、林業就業対策にも繋がるのではないだろうか。

過疎地域の小さな第一歩を見逃してはいけない。

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