【新たに歩み始めた北海道の自伐林業家たち】 上井 達矢 さん(北竜町)

2020年7月5日

上井さんは札幌市出身。もともと自然に興味があり、大学院修士課程修了後は倶知安の博物館で勤務していたが、森の近くに住みたいという思いが強くなり、森に居ながら自然を守れる仕事はなんだろうと考え、たどり着いたのが林業だという。

林業について調べているうちに、今の日本の林業は自然をすり減らしながら木材を伐り出していて、そのうえ売り上げのほとんどが補助金で賄われていることがわかった。
人間は自然を利用することでしか生きられないはずなのに、その代名詞的な産業である林業が赤字とはおかしい。
いったいどうなっているのだろうと不思議に思った。
さらに調べて行くうちに自伐型林業の情報にたどり着き、これなら自然を守りながらうまく利用することもできるかもしれない。やってみたい。そう思ったことがきっかけになった。

しかしながらまだ林業をはじめられるほどのスキルは無く、修行させてもらう目的で㈱大西林業の門を叩いたという。
面接で大西社長から「やってみるといいよ。」と言われて、2018年4月から早速白老町へ引っ越し、働き始めた。

同年8月に洞爺湖町で行われた自伐型林業養成講座にも参加した。
ここで上井さんは同じことに興味のあるたくさんの人たちと出会うことができた。
会話を通していろいろな経験や考えを聞き、自分の考えと比べるなかで改めて自分のやりたいことがはっきりと整理され、新たな気づきが得られたことがよかったという。

大西林業で勤務した2020年4月までの2年間では、大西社長や同僚と一緒に仕事をするなかで様々なスキルや知識を学び、少しずつ林業の経験を積んだ。
もともと独立を考えていたため、大西社長のもつ事業主視点の考え方はとても新鮮で勉強になったという。
また仕事以外の面でも同僚の考え方や個性から、自分にはあまりなかった感覚やライフスタイルについて学ぶことができた。

大西林業で働きながら並行して、木工や特殊伐採の練習、ビジネス書を読んだり、独立後に施業する山林を探したりした。
山林探しでは、不動産屋に電話したり、森林組合に相談したり、インターネットで検索したりしたが、なかなか予算内で買える良い山林は見つからず、最後は友人と親類に頼ったという。
最終的に見つかったのが、北竜町にある山林だった。

晴れて購入できた山林は約25haで天然林と人工林が半々くらい。
人工林はカラマツが主体だがトドマツも少しある。
2020年から早速施業を始めるそう。
まずは笹刈りをしながら、作業道を敷設し、支障木をきちんと集材して商品開発、販路開拓をする予定。
自然環境に配慮した持続的な方法での資源活用には強い意欲を持っているようで、施業から販売まで一貫してそうしたエッセンスを込めるつもり。

新たにお子さんも生まれる予定の上井さん。
「将来は子供も含めて皆が利用しやすい山林にしていきたい。同じ思いを持つ仲間が増えるといいな。」と話す。

私、澤田は今年の6月三菱マテリアルの手稲山林で、上井さんと多くの日数、作業を一緒にしました。
チェーンソーを扱う作業の的確さや円滑さ、重機の扱い、道付けの丁寧さやスピード、リスク回避の考え方などなど、大西林業でたくさんのことを吸収してきたことや、色々と勉強している様子が上井さんの働いている姿から沢山伝わってきました。
そして作業を通じて、色々なことをすぐに吸収していく人だと感じました。

物腰柔らかい話し方で心優しい上井さんですが、しっかりと前を見る熱い気持ちも持っていることが伝わってきました。
これから様々なことにチャレンジしていく様子を応援できればと思っています。

上井さんが代表を務める自然下のHPはこちら

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