【新たに歩み始めた北海道の自伐林業家たち】 笠井 一朗さん(壮瞥町)

2020年7月5日

笠井さんは豊浦町で自伐型林業を実践している渡辺さんから自伐型林業の情報を耳にし、2018年度に洞爺湖町で行った自伐型林業研修に参加を申し込んだ。

研修でまず笠井さんが感じたことは、若い参加者が多いこと。
その時、林業もありなんだな。
自身の住む壮瞥町は過疎化が進んでいて、山はたくさんあるし、若い人を呼び込む活力となり、町おこしにもつなげることができるんではないかと感じたそう。

笠井さんは東京都出身、大学で土木工学を専攻後、トンネル工学が必要な建設コンサルタント会社で勤務していたが、当時の冷戦時代で東京にも直接被害が及ぶかもしれないような不安定な国際情勢の中、都心で暮らすよりも地方、いわゆる田舎に移住、根を下ろし生活していくことを選択し、壮瞥町にたどり着いた。
当時は移住して田舎に暮らすということは当時は農業しかなかったという。

笠井さんはこれまで、農業を営みながら、大工系の仕事もし、薪を使った窯で奥様と自家培養酵母を使ったドイツ風のパンを定期的に焼き上げ、牛のチーズを販売、たまには伐倒し、木材に加工した後、大工仕事や建築に用いたりもしてきたそう。
奥様は、町で英語を教えたり、理系出身の笠井さんは数学を教えたりしてこられました。

現在は、便利業も行っており、町からの委託で梅の咲く壮瞥公園の管理、(梅の木の剪定や草刈りは、林業とも重なるところもあるのでは?と取材で感じました。)その他も様々なスキルを生かしたお仕事をされています。

取材でお話をお伺いした際、それぞれの持つ能力や経験を遺憾無く発揮して、町に根を下ろし、これまで生きてこられた素敵なご夫婦と感じていました。

笠井さんは、2019年より、壮瞥さとやま林業という団体を立ち上げ、地域や周辺の仲間らとともに、自身所有の裏山天然林3.4haでの笹刈りや風倒木の処理、使えそうな風倒木は既設の作業道を使用して利用する。という活動を開始しました。

NPO森林バンクという、北海道自伐型林業推進協議会の兄弟分の団体があります。
業務内容は使わなくなった森林をやる気のある人に使ってもらいたい等の理由で、森林所有者から寄付を受け付け、自伐型林業者へマッチングするというものです。
こういった手段があるということは良いことだと思う。と語ってくれた笠井さんはNPO森林バンクも活用してくださりました。

笠井さんの知人の方から、良い山にしていってくれるなら山を寄付したいというオファーがあり、自身でやるには移動距離の点から負担が大きいと感じたが、寄付をNPO森林バンクを通し、山主の想いに応えてはあげたいというスタンスで笠井さんは、この山にも向き合おうと思っています。

今後は補助金頼みではなく、所得をしっかりあげられるスタイルを確立すること。切り出した木を使って、大工仕事の際の材料にしたり、納屋等を立てるなど、大工仕事もできる笠井さんならではの展望も少し教えてもらいました。
その上で後続も育てることができればという想いを語ってくれました。

まだまだ大規模型の林業に比べ、知名度は高くはないかもしれないが、
暮らし方の一つとして、森林資源活用の手段があり、成果を少しずつあげていくことで、自身の住む壮瞥町の為にもなれば良い。とお考えを聞かせてもらいました。

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