「植林されたカラマツ林があり、この全てを伐採するのは色々な面で難しいと思っている。だからこそ、広葉樹との混交林を正しいとは思わないけれども、良いと思って進めている」(本田 弘さん)
北海道厚真町の本田農場代表の本田 弘さんはこう言う。北海道にはカラマツ林が約50万haあり、人件費等のコストなどを考えても、全て伐採を行わずにカラマツを大径化させ、スキマに広葉樹を侵入させた方が良いと考えているそうだ。
農業を中心として生計を立てているが、山仕事は趣味とは考えていない。山に携わる以上、「林業」として捉えている。
本田さんの林業の始まりは、30年程前。代々続く土地に、山林が含まれているのを知らされたのがその頃だそうだ。自ら手を加え、我流ながら試行錯誤を行ってきた。
「木に関わりだしたら面白い。山に生えている木を調べていくと、大径化していく種類が30種もあった」(本田さん)
(山を見て回り、直接手で長さを測る。手が届かなくなったものに縄を縛り、成長が見届けられるようにしている)
本田さんは、夏は農業、冬は林業を行う。冬に林業を行うことで、樹木の葉が落ち、見え方が違うので有利だという。
「どんな木も無駄になることはないですよ。伐ったら何に使うかを考える。有効に使った方がいい」
本田さんは、自分のことは自分でやってきた、と語る。敷地内に山小屋があるが、建物の基礎となる木材、内装材、家具など殆どを自ら伐り、製材し活用している。
針広混交林へと進めていった手順は、以下の通り。
カラマツの間伐→広葉樹が自然に侵入→広葉樹の間伐
「ヤナギがまず生えて、次にシラカンバ。ハンノキ、ナラと生えてくる」
「風で木が倒れたりもするが、それも自然の成り行き。倒れた木の隣にいた小さな木の出番がやってくる」(本田さん)
自伐型林業を30年以上も前から行ってきた本田さん。現在、若者が自伐型林業にこれほど興味を持つとは思わなかったとの事。現在進む自伐型林業の考え方に、本田さんの林業に対する考え方が大きく繋がっていくことだろう。