新千歳空港から高速で40分ほど南に向かうと辿り着くのが、白老町。
ここで薪や木炭、木酢液を製造している大西林業では、主にミズナラを用いて生産を行う。北海道の南側では、木炭の製造は古くから盛んであり、炭窯の製法も昔ながらの手法で現在も行われている。
薪や炭は、ミズナラを伐った山の中で生産を行い、搬出する。伐り終われば次の山へ移動し、炭窯や土場を新しくつくっていたそうだ。
今までの手法からいけば、その山に生える木のすべてを伐る皆伐(かいばつ)を行い、次の山へと転々とするスタイルであったのだが、大西林業の社長、大西 潤二さんは数年前から手法を変更していく。
「立木買いをしたので元を取ろうと思い、皆伐したこともあったのですが、皆伐すると更新しないんです」(大西さん)
(3年程前に皆伐した某場所。地目は山林ではないため植林等の必要はないが、不要であった広葉樹が数本だけ残っている。クマザサが生え、樹木の芽が育っていない)
自然にとっても人間にとっても良い方法を
皆伐することは悪だとは思わない、しかし施業する側、そして自然の事を考えればお互いにとって天然で更新するようにしていきたいと考えるようになったそうだ。施業側にとっては、大きな径の木であればあるほど体積も増え、生産量が増加する。自然側にとっては、植生が変わることなく、生き続けられる。
大西さんは、新たに立木買いを行った際には反省をふまえ、母樹を残して間伐を行うように施業を変更。
(1年前に間伐を行った場所。2割程度の間伐を行い、日を当てないようにしている為、クマザサも生えていない)
(間伐を行う際も、全てを伐りとらずに一部のみ伐採し育てる)
「北海道型」自伐型林業のモデルケース
大西林業では、伐採した木によって薪、木炭、ホダ木、木酢液の生産を行う。本州における自伐型林業ではスギ、ヒノキなどの針葉樹を市場や製材所へ卸す形であるが、北海道型の自伐型林業として広葉樹の活用の一つのモデルケースとなるのが、大西林業だ。2002年にインターネットでの販売を開始、2007年に白老町内にて「ならの木家」をオープンさせ、自社で伐採から生産を行い、販売まで行っている。現在は伊達、豊浦の道の駅でも販売。
(白老町内にある「ならの木家」)
最初にあったように、炭窯も昔ながらの手法でつくる。現在は生産量を増加させるため、2基目の炭窯を製作中だ。炭窯の生産過程で採れる木酢液もこの炭窯から生産されている。
大西さんは、小学校3年生の頃から山仕事やホダ木の生産などの手伝いをしていたそうだ。
「家業だったので、手伝うのが当たり前だった。その後本格的に会社に入って、やるしかなかったし、この作業が肌に合うと思ってる」(大西さん)
自伐型林業推進協会にて株式会社大西林業が紹介されていますので、こちらもご覧下さい。